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原泉の大自然でアートを楽しむ展覧会「HARAIZUMI ART DAYS!2021」

文化・芸術・スポーツ
原泉の大自然でアートを楽しむ展覧会「HARAIZUMI ART DAYS!2021」
活動団体 原泉アートプロジェクト
活動場所 静岡県掛川市

県西部の掛川市は、江戸時代から掛川城下の宿場町として発展を遂げてきました。掛川市北部に位置する中山間地域、“原泉地区”。500名ほどが住んでいる原泉地区は大和田・孕丹(ようたん)・萩間・居尻・黒俣の5つの集落の総称で、清らかな水や深い山の緑など、時間がゆっくりと流れているような日本の原風景に出会える場所です。
そんな原泉地区で国内外の現代アーティストたちが滞在制作した作品を展示するアートイベント『原泉アートデイズ!』が開催されています。今回で4回目の開催となり、今年は国内外から12組の芸術家が参加。原泉地区の南北約8Kmにわたって、旧茶工場やお寺、空き家などを活用した7会場に数々のアート作品が点在しています。

アートデイズの会場は原泉の茶畑が一望できる絶景!

『原泉アートデイズ』の大きな特徴は、アーティストが地域に長期滞在して創作する「アーティスト・イン・レジデンス」を展開していて、アーティスト自身が地域で得た経験が作品に表現されていること。作家同士や地域の人々との交流、地域の自然豊かな環境にふれることで、制作とじっくり向き合い、素晴らしい作品が生み出されていきます。
このアートデイズを主催しているのが、「原泉アートプロジェクト」代表の羽鳥祐子さんです。群馬県出身の羽鳥さんは、グラフィックデザイナーとして活動する傍ら、原泉に居住し「原泉アートプロジェクト」をスタート。静岡県の遠州地域へ何度か仕事で訪れているうちに、原泉地区と縁があって、2016年夏から関東と2つの拠点で生活を始められました。そして翌年、「かけがわ茶エンナーレ2017」の関連企画で原泉アートデイズを始めるきっかけとなる運命的な出会いがありました。
今回のアートイベントにも参加されている現代美術家の中瀬千恵子さんの作品に感動し、半日以上語り合ってしまったそうです。そして羽鳥さんは、中瀬さんとの出会いを機に、アートコミュニティを形成する活動が徐々に始まっていきました。

「あくまでアートが主体。けれども有名なアーティストを呼んで集客したいわけではなく、それよりも原泉の地に滞在し、対話し、互いに成長し合えるような関係を築いてくれることを条件に作家を集めていった。」と語る羽鳥さん。そして、ここでのアートプロジェクトを祝祭的なものではなく、日々の暮らしの延長線にあるものとして捉えています。
「人の営みがあってこそのアート。アーティストが地域にコミットして制作するからこそ、ワクワクした気持ちで新たな作品に挑戦することが可能となり、完成した作品が生々しく輝くんです!」と羽鳥さんの想いを語ってくださいました。また、一人ひとりの作家性や作品性についてじっくり対峙し、徹底的に向き合いながら作品を通してお互いに成長し、場自体が進化していくような対話を繰り返しています。

見る角度によって変化していくナイスフォームな空間!

今年の『原泉アートデイズ』のテーマは「相互作用」。萩間の旧原泉第二製茶工場を展示会場にした、みなみりょうへいさんは「A NiCE FORM」という作品名のもとカヌーや小学校のパイプ椅子など現地で調達した材料を巧みに生かし、インスタレーション(空間芸術)に仕上げています。配置されている物の間や、カラフルな色合い、音の距離など全てが見事に調和していてその世界観に心奪われました。

草木の間からLoveが至る所に散りばめられ、心安らぐ世界観!

続いて同じく旧原泉第二製茶工場に展示されている中瀬千恵子さんの作品は「共に生きる」。ダンボールや庭の草木など捨てられるべき物たちの生命を美しくよみがえらせた作品の数々。いにしえの陰陽を思わせる中瀬さんの作品にはあたりまえのことを大切にしなければと気づかせてくれるメッセージを受け取ったような気持ちになりました。
最後に訪れたのが昌光寺を展示会場にした井口貴夫さんの作品「寺考(てらこう)」。庭の片隅に置かれていた屋根トタン、さるすべりの老木の樹皮などが寺の至る所に展示され、沈黙していた時が再び動きだしているような空間に。お寺から見える緑や木々も作品とマッチし、どこか昔を思い出す懐かしい時間が流れていました。

昔と現代が出合い、重なり、融合している空間美!

作家のみなさんが地域で得た経験や時間が様々な形で作品に表現されていることが実感できる「原泉アートデイズ!」。そして羽鳥さんは「将来的に、これまでスタジオや展示会場、そしてイベント会場などに活用していたこの茶工場を、常設の展示場とスタジオ、オフィスやショップの機能を兼ね備えたアートセンターのような場所にしていきたい。」と想いを語ってくれました。
さらに「作品とアーティストに比重を置きたいと考えていて、その結果として来場者やアートが好きな人が地域に集まるようになり、地域が良くなれば嬉しい。4回目の開催を迎えるにあたって年々地域の中から支援してくれる方が増え、地元のみなさんも作品に対する質問の深さが変わった。」と話す羽鳥さん。
プロジェクトの立ち上げ以来、羽鳥さんをはじめ作家のみなさんはサステナビリティ(持続可能性)という概念に基づき、常に進化し続けています。
絵画、彫刻、インスタレーション、映像、パフォーマンスなど様々な作品に出合える『原泉アートデイズ!』で原泉の自然とアートの世界につながってみてはいかがですか?

◇マリコの取材こぼれ話
・作家が一緒に食卓を囲んだResidency’s Mealsを見るべし!(毎日の食卓写真は圧巻!)

 

 

(文・写真)静岡県関係人口ライター