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“何となく田舎暮らしをしてみたい” を現実へ。地域の横と横をつなげる地域づくりとは?

まちづくり
“何となく田舎暮らしをしてみたい” を現実へ。地域の横と横をつなげる地域づくりとは?
活動団体 NPO法人伊豆㏌賀茂6
活動場所 静岡県下田市

「地域のファシリテーターとして、外から来られるみなさんを現地のみなさんと結び合わせるのが大きな仕事。」

そう語るのは、NPO法人伊豆in賀茂6の理事、岡崎大五(おかざき だいご)さん。伊豆半島の最先端にほど近い伊豆下田で、空き家バンク、移住・交流支援、移住体験施設「伊豆下田 見晴亭」、清掃管理事業の4事業を運営しています。“昭和レトロ” が人気の昨今、海と山に囲まれ昭和の面影が残る下田は移住人気の高いまちのひとつ。2019年には30名だった空き家バンク経由の移住者数は、2021年には80名超にまで増加しました。移住者として空き家バンクを訪ねてきた神健一(こう けんいち)さんら協力者と共に、“来た人は面倒を見る” という岡崎さんのポリシーのもと、下田の町や人と人とのつながりを縁の下で支えています。

下田のメイン通り、マイマイ通りから一歩入るとレトロなフォントが目を引く建物が。「NPO法人伊豆in賀茂6」では、外国文化の展示会や絵画の展覧会など催しを開催することもあります。

「移住の決め手は空き家バンクがあるかないか!」そう言い切る岡崎さんと、客員アドバイザーの神さんにお話を伺いました。

「移住!」と意気込まなくても大丈夫。ちょっと気になった方はぜひ立ち寄ってみてください。

空き家バンクはマッチングサービス。血縁のない親戚を探すお手伝いをしています。

近年深刻化している空き家問題。地方では、都会に出ていった若者が地元に帰ってこないことが多く、住人のいなくなった家が “空き家” として放置されることが珍しくありません。そうしたことから、全国的に“家主の高齢化=まちの高齢化” が課題となっています。そこで登場するのが、空き家と新たに住む人を結びつける役目を担う“空き家バンク”です。空き家活用は、一見空き家に住むことのできる新しい住人へのメリットが大きいように見えますが、実はまちや持ち主側にも利点があります。次の世代に使い直してもらうことで家の価値が高まり、かつ移住者が増えるというダブルの経済効果を得られるのです。伊豆in賀茂6の所有である移住体験施設「伊豆下田 見晴亭」も、実際に“マイナス資産”として空き家だった物件のひとつ。下田のまちを見下ろすことができる眺望抜群の見晴亭は、今では下田の生活体験ができる一棟貸しの施設として、誰でも宿泊ができるようになっています。

それぞれの家や人のストーリーに合った人を見つけ、マッチングさせることが “岡崎さん流空き家バンク”。「できるだけ多くの空き家を出すことで、たくさんの人に下田に来てもらいたい。」と語ります。

空き家バンクはマッチングサービス。血縁のない親戚を探すお手伝いをしています。
2019年に伊豆in賀茂6が空き家バンクを開始してから2021年までに、約4億円の経済効果が生まれていると語る岡崎さん(左)。

人の気持ちが大事な事業だからこそ、NPOとして自走していきたい。

2019年のNPO設立当初は、主に岡崎さんともう一人のスタッフで切り盛りしていたのが、今や客員アドバイザーとして手伝ってくれている神さんも含めて、9名の規模に拡大しました。 移住者でもある横浜市出身の神さんは、大手広告代理店に勤務しているさなか、40歳を過ぎたときに「自然の中で過ごしたい」と感じ都会を離れることを決意。縁もゆかりもなかった土地ですが、会社を辞め、都心からもほど近く、海と山に囲まれている下田に移住を決めました。今は本職と並行して空き家バンクの仕事をサポートしています。マーケティングに長年携わっていた神さんが、下田を間近で見ていく中で感じた下田の課題は、“過疎で流通のハンデを負っており、ひとつひとつの発信も弱い” こと。「都心からも近く海にも山にも囲まれている!こんな最高な環境の地域が楽しめなくなる」という危惧から “地域のためにどうお金を回せるか” を考えるようになりました。「横のコミュニケーションで成り立っている社会の下支えをしているNPOを、どうにか自立させたい。」という神さんは、目下NPOの新規事業を開拓中。NPOを通じて得られる地元のネットワークと、これまで培った経験を武器に、“地域と都会とのつなぎ役” を目指しています。

人の気持ちが大事な事業だからこそ、NPOとして自走していきたい。
移住体験施設「伊豆下田 見晴亭」は2021年5月にオープンしたばかり。” 見晴らし”には、移住してくる人たちの未来を見晴らすように、という願いが込められています。

「チャレンジしたら何かがあるんじゃないか?」というポジティブな移住が増加中。

「コロナ禍以後、自分の気持ちに合った選択肢ができるようになった。」という岡崎さん。
“人生に失敗したので移住” というネガティブな要因ではなく、“チャレンジした先にあるもの” を求めるポジティブな移住が増えていると続けます。その分、伊豆in賀茂6の線引きはシビア。ウェブサイト上に掲載する各物件の写真をあえて少なくにすることで、本当に移住する気がある人のみが現地に訪れるというからくりになっています。

空き家バンクを訪れる人の約50%は、“何となく田舎暮らしをしたい” 人たち。岡崎さんは相談者それぞれの人生の話を聞きながら、相手がイメージしていることを具体化していきます。お子さんはどの小学校に入ることになるのか?など具体的な話をすることで、想像が現実的な話に。「夢をいだかせず、求めている希望に合うかどうかが大事」と語る岡崎さん。下田に精通しているからこそ、そして人生の話を聞いたマッチングの仲人だからこそ、家、仕事、生活の環境のサポートを親身に行えることが、伊豆in賀茂6の強みです。「横のつながりが強いコミュニティだからこそ、伊豆in賀茂6を介することで地に馴染み、生活もしやすくなるはず。」と、力強く語ります。

「何となく興味があるかも」でもいいんです。「なんか下田いいかも」と感じた方は、まずは移住体験施設「伊豆下田 見晴亭」に泊まりに来てみてください。コンセプトは “下田のまちの一角にある昭和の家”。下田の日々の暮らしや、山と海に囲まれたまちの姿を垣間見ることができますよ。見晴亭から空き家バンクまでは徒歩6分。「住みたい!」と感じたら、その時が行動するとき。ふらっと伊豆in賀茂6へ足を延ばしてみてもいいかもしれません。移住者と地元を繋げる “地域のファシリテーター”、岡崎さんや神さんが、きっと熱く温かく迎えてくれるはず。

 

 

(文・写真)静岡県関係人口ライター