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注目事例

いのちの森を未来へ。
「夢マップ実現プロジェクト」が描く
循環型社会

環境
いのちの森を未来へ。<br>「夢マップ実現プロジェクト」が描く<br>循環型社会
活動団体 NPO法人時ノ寿の森クラブ

光の差し込む豊かな森。森林浴が楽しめる散策路。
子ども達が遊べるアスレチック。山の木材を活用したゲストハウス。
5年前に描かれた1枚のイラストに詰まった夢が今、実現しようとしています。
プロジェクトを手掛けた掛川市倉真にあるNPO法人「時ノ寿の森クラブ」
事務局長の大石淳平さんに話を聞きました。

――誰もが気軽に森と出会えるプラットホームを。人と森を結ぶ未来図『夢マップ』

荒廃した森を整備・再生し、未来へと引き継ぐ取り組みをしているNPO法人時ノ寿の森クラブ。
大石さんは5年前に東京から故郷である掛川市に戻り、この活動を手伝い始めました。
「夢マップは、この森の将来像を描いたイラストです。NPO会員さんや企業の人たち、地域の方、
これから関わりを持ってくれそうな皆に集まってもらい、時間をかけて話し合いました。」
自然植生の天然林と人工林、果樹の森が里山を彩り、
春に咲くヤマザクラや秋に紅葉するイロハモミジなどが季節に応じて楽しめる構想です。
多くの人が訪れてくれるための仕掛けが散りばめられたマップは今年完成の予定。
秋にはお披露目出来るように準備を進めています。

――「森の役割が変わる」源流の森がこれから、現代社会に提供できるサービスとは

良く管理された山は保水力があり、ふもとの町々を水害や災害から守ってくれていました。
清らかな水が川を流れ、森、里山、町、そして海へ。
かつてあった自然と人が織りなす素晴らしいサイクルが、
森の荒廃により失われつつあることに危機感を覚えた松浦成夫さん(現・理事長)
個人の森林保全活動から『時ノ寿の森クラブ』はスタートしました。

間伐、植樹、下草刈りなど地道な森林保全活動に一人、また一人と仲間が増えていきましたが
これまでと同じスタンスの保全活動だけでは、未来に森を引き継いでいけないと感じたそうです。
そんな中、大石さんをはじめとする若い世代との出会いを通して
『森を活用し楽しむ中で、結果として森が守られる』そんなアイデアが
次々と夢マップに加わりました。

森の再生は、里山の人だけで解決できることではありません。
森林資源を都市に住む人たちが、いかに有効活用できるかにかかっています。
個人や企業とのパートナーシップや、行政とも連携しながら、
森にアクセスしやすい環境を整備し、森から元気をもらえるような体験の機会を提供することで
森と親しみ、使い続ける仕組みづくりに挑戦しています。

――未来の子どもたちに、多様な生物がいのちを育む豊かな森を引き継ぐことを目指して

夢マップに描かれた、森の遊具で楽しそうに遊ぶ子ども達のイラストは
現在『森のようちえん』として実現しています。
普段の生活ではできない、のこぎりや火おこし体験や、源流の沢歩き、里山の生きもの探しなど、
四季を感じるプログラムで年間を通じて子どもたちをはぐくむ場を提供する他、
夏休みなど長期休暇には都市や県外の子どもたちが参加できるイベントも開催しています。
他にも、時ノ寿の森で育った材を使い、3年の月日をかけてつくられたゲストハウスに宿泊することも可能で、
小鳥の声で目を覚まし、森で深呼吸をしながら谷の清流に足を浸せる体験は都会生活の家族に好評です。
「遊んだり、使ったりすることで森は活性化していきます。子どもたちの為に豊かな森をつくっていきたい。」
廃村になった山里に再び子どもたちの笑い声が響くことが多くなって、大人たちが森の手入れをするモチベーションになっています。

――15年の間に12万本を植樹。森と関係を持ちたい時の出発駅になれたら。

月に1回のボランティア定例会では、散策路の整備、休憩所のベンチ作り、植樹、下草刈りなどを
山のプロと初心者が一緒に行っています。
「1,000本の木を植えるのに、10人だと1人あたり100本植えなければ達成できない作業が、
100人で行うと1人あたり10本。人の手で1本ずつ植えています。たくさんの人に手伝ってもらえると
その分、命ある若木を丁寧に扱えるのでボランティアの参加は貴重です。」
アウトドアブームもあり、里山の自然を楽しみながら汗を流せる週末の活動に注目が集まっています。
森の動植物に詳しいスタッフと一緒に作業をすることも楽しみのひとつ。芽吹いた草木や空を飛ぶ鳥の名前を
その場で尋ねることができる環境は、皆で作業を共にするからこその貴重な経験です。
「見学だけでもよいので森に足を運んでもらえたら。次の夢マップを一緒に作れる仲間も募集しています」
普段とは異なる環境で仕事を行うコワーキングスペースのアイデアや、子どもたちがより楽しめる施設の設計なども計画中とのこと。多様ないのちを育む豊かな森と共生する、持続可能な社会を目指して『夢マップ』は新しいステージへと進んでいます。

 

 

(文・写真)静岡県関係人口ライター